【ハリルジャパン】ポゼッションサッカーの、その先へ

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リベロの河童
 ( 河童戦術ブログの管理人 )

ロシアワールドカップアジア最終予選B組の日本代表対オーストラリア代表は終わってみれば日本の『完勝』でしたね。相手を徹底的に分析し、対策を練ってそれに合う布陣と選手を編成し完璧なまでにオーストラリアには何もさせず、日本代表の思い描いたプランで試合が進み勝利を手にしました。

そんな日本代表の戦い方についていろいろと議論があるようなので個人の感想を書いておきます。特にメディアなどで気になったのは『ボールポゼッションとパス数で圧倒的に日本が低かった』ことに対して批判しているもの。たしかに試合はオーストラリアが最終的には66.5%という支配率でボールを握ってポゼッションしている時間がかなり長かったですし、そのためパス数も日本が305本に対してオーストラリアは627本とかなりの差が開いています。だからと言って『ゲームを支配されていた』わけではありませんし、主導権は常に日本代表が握っていました。本当その見方はあまりにも時代遅れ過ぎるんじゃないかと思うんですよね。

 

ではまず『サッカーの最先端の戦術はどこにあるのか』というところから。まあ厳密に言えば違うんですけど、おそらく時代の最先端のサッカーが繰り広げられているのは『欧州チャンピオンズリーグ』です。ヨーロッパ各国のリーグで優勝、もしくは上位のチームだけが集まって欧州一のクラブを決める大会です。ここで披露されたものが世界中に広まり、その後のサッカー界に浸透していっています。

まずは欧州CLで注目され、それから1~2年後には欧州各国のクラブチームに波及します。さらにそこから1~2年後には欧州の代表チームにもその傾向が見られるようになり、さらにそれから数年経ってようやく日本代表、そしてJリーグにもそのトレンドがやってくるという状況です。

では現在の最先端では今でも『ポゼッションサッカー』が猛威を振るっているのかというと、実はまったくそんなことはありません。2010-2011シーズンのマンチェスターユナイテッドをチャンピオンズリーグ決勝で叩きのめしたペップグアルディオラのバルセロナが世界一になったときと今を比べたら、そういうポゼッションサッカーだけでは勝ち進めなくなり今ではさらに進化し別のサッカーが猛威を振るっています。もうボールを保持するだけのポゼッションサッカーなんて過去のものなんですよね。

例えば昨年開催されていたユーロ2016という欧州の代表チームが集まる大会(日本で例えるとアジアカップ)では、全51試合のうちボール保持率が高かった方のチームがその試合に勝利したのは『51試合中15試合』だけです。51試合中36試合、70%以上の試合でボール保持率の低いチームのほうが勝利していました。

つまり時代は変わりサッカーは進化し続けているということ。世界ではもはやボール保持率至上主義というのは過去のものになり、新しい時代に突入しているのです。ユーロ2016の結果から見ても、来年のワールドカップでもそういう傾向は出てくるかもしれませんし、さらには今季これから注目されるトレンドを取り入れることで勝ち上がる代表チームもあるでしょう。そうやって時代が進んでいるのにいつまでも数年前のイメージでサッカーを語るとハリルホジッチを理解できないかもしれません。

ザッケローニもはじめはそのようにその時代の最先端を見ながら日本代表にとってベストな方法を選択してアジアカップを制しました。しかしそこからいろいろあって『自分たちのサッカー』へと落ちぶれていきましたね。アギーレもしっかりと世界のトレンドを見極めていたと思います。少し変り種はオシムジャパン。世界のトレンドを意識しつつも、それをベースに日本独自のスパイスを入れることで『世界に勝つ』ことを目標にしていたと思います。トルシエの場合は『世界のどこでもやってないこと』をやり出してましたけどね。今考えるとあのときのトルシエジャパンってある意味サッカー界に革命を起こそうとしていたのかもしれません。それだけ世界的に見ても稀で最先端だったような気がしています。

そしてハリルホジッチ。相手を徹底的に研究し、世界のトレンドを意識しながらもその試合に勝つためのベストな布陣と選手をぶつけて結果を見事出してくれました。例えばオーストラリアがボールを握ることに拘っていないチーム状態だったら別の戦術で戦っていたと思いますし、今回は相手がこうだから日本はあのような戦いをしたということ。

そういうことを理解しているサッカーファンにはかなり支持されていますし、それが理解できないメディアには叩かれています。彼がやっていることはしっかりと時代のトレンドを取り入れていると思いますし、あとは選手がそれに応えれるかどうかです。今季の欧州チャンピオンズリーグに出場する日本人選手は香川真司だけという駒のなかでも、ハリルホジッチはしっかりとW杯で結果を出せるようなサッカーを作ってくれていると思いますよ。

もうポゼッションが高いほうが有利という時代は過ぎ去りました。これからはさらに選手がアスリート化し、戦術も複雑になり、ポゼッションもカウンターもなんでもできる選手が選ばれ、なんでもできるチームが勝ちあがる時代になると思います。それには選手の成長が不可欠ですし、ハリルホジッチのようなメディアや周りの騒音に惑わされず世界のトレンドを取り入れて目の前の敵に全力で勝ちにいける監督が必要です。

しかし今回オーストラリア戦で見せたサッカーで勝利したことで、そういったことに理解を示すメディアも出てくるかもしれませんし、ファンもハリルホジッチの手腕を認めてくれるかもしれません。彼がやっていることは間違ってないですし、ワールドカップで勝ち上がるチームを作ってくれていると思います。もしかすると本大会ではグループステージ敗退なんてこともありえるわけですが、そういう結果だけの話ではなく日本代表が進む方向性としては間違ってないと思います。

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