名古屋グランパス分析:『フリーの定義』と『イメージの共有』について

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リベロの河童
 ( 河童戦術ブログの管理人 )

前回の記事では「止める、蹴る」という部分の、とくに個人技術についてお話しました。まあこれができてないとスタートラインに立てませんし、始まらない部分でもありました。そして今回はその個人技術が集団となりグループとしてどう活かされるのかというところについて。ではまず最初に、ツイッターでアンケートを取ってみたのでその結果から。

この答えについてはまた後ほど。というわけで今回のテーマは「フリーの定義」と「イメージの共有」についてです。これについても中村憲剛の言葉から探っていこうと思います。

中村憲剛が感じたチームの「成熟」 風間監督との5年間で培ったもの – スポーツナビ

ただ、こうして振り返ってみると、結果的にみんなうまくなった。技術はもちろん、“イメージの共有”や“フリーの定義”と、考え方をそろえることで、相手を寄せ付けない強さをも発揮できるようになった。特に僕は、30歳を過ぎておぼろげながら、このまま(選手として)終わっていくのかと思っていたときに、『もっとうまくなれ』と言ってくれる監督に出会えたことは、すごく幸運だったと思います」

そのチームの根幹にあるのが“止めて蹴る”――いわゆる基礎中の基礎と言われるプレーだった。

「それこそ風間さんが監督に就任したばかりのころは、インサイドキックの練習をかなりしました。スピードの速いパスを出して止めるという反復練習なんですが、かなり強いキックを蹴るので、結構、その練習の影響ででけが人が出たくらいです(苦笑)。

プロは、ほぼ毎日練習しているとはいえ、多くの時間をフォーメーション練習やチーム練習に費やすので、そこまでボールを蹴るわけではないし、技術練習をするわけでもない。それが4人一組とかで、100本も200本も強いパスを蹴る練習を繰り返していたんですからね。学生時代を思い出しましたよ(笑)。でも、このサッカーをやる上で、その“止めて蹴る”が抜けていたら話にならないんです。“フリーの定義”も“イメージの共有”も、すべてはベースがあってこそですから」

中村憲剛が感じたチームの「成熟」 風間監督との5年間で培ったもの – スポーツナビ

「“止めて蹴る”ができるようになってくると、できることが増えて、プレーの選択肢も増えますよね。そうするとほとんどの選手が壁にぶつかるんです。それはなぜか。できることが増えることによって選択肢が増え、プレーの判断が遅くなったり、リズムが悪くなったりするから。

そこでまた壁にぶち当たるのですが、それを乗り越えると、いよいよ、うちのリズムに入っていくというか、新しい景色が見えてくる。だから必ず、壁にぶつかっている選手には、このことを言うんです。でも、言われた選手は壁にぶち当たっているから『何のことを言っているんだろうな?』と思っていたでしょうね。ただ、抜けたときには『このことだったのか』って思ってくれているはずです」

同じ景色が見える選手がそろうことで、チームとしてできることも広がっていく。まさに風間監督が就任当初に言っていた“総和”だった。

「僕らがやっているパスワークは、即興なんですよね。だから、パターンがない。ひとつ言えるとしたら、チーム全員が(ボールに対する)当事者となって常に顔を出す。例えば、ボールを持っていた選手がパスを出した後に、もう一度、顔を出すとか、抜け出すとかもそう。常に全員がボールに関与していなければならない。その中で、フリーの定義で言えば、たとえDFを背負っている味方がいても、出し手と受け手がフリーだと思えばフリーになる。

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さて。最初にお見せしたツイッターの投票結果についてですが。あの状況を見て「フリーである」が21%、「フリーではない」が66%、「わからない」が13%となっていました。で、中村憲剛の言葉を借りれば「出し手と受け手がフリーだと思えばフリー」となります。つまり正解は「わからない」でしょうか。フリーの定義は状況だけで決まるものではないということ。

これは風間監督の言う「目を揃える」という部分になるかと思いますが、あの状況でも受け手がボールを持ってプレーできると感じ、出し手が「彼なら受けれる」と感じれば、この状況は「フリー」です。

例えると、もし受け手が杉森で出し手が田口だった場合、杉森がパスを受けてボールを保持できると感じ、杉森があの状況でも受けれることを田口が知っていればこの状況はフリーと定義できますね。逆に、受けるのがメッシだろうと、出し手がそれを理解せず「フリーではない」と感じれば、それはフリーではありませんし、パスも出ないでしょう。そういうことです。

少しずつ「フリーの定義」という部分が見えてきたところで、もうひとつのテーマである「イメージの共有」についてです。こちらも同じく中村憲剛の言葉から読み取ってみます。

中村憲剛が感じたチームの「成熟」 風間監督との5年間で培ったもの – スポーツナビ

風間監督もよく使うという“フリーの定義”を説明してくれたところで、もうひとつ。“イメージの共有”についても中村は教えてくれた。

「常に考えながらプレーしたり、走ったりしなければならないので、そこには選手間の信頼関係が重要になってくる。例えば(大久保)嘉人ならば、絶対にボールを失わないから、ここで前に出ていけばチャンスになると信じて、走ることができる。その信頼関係ひとつで、全く状況は変わってくるんです。

そのベースにあるのが、日頃の技術練習で培った目と頭。他のチームならば、この味方の距離感とこの味方の距離感ならば、パスは通さないかもしれないけど、僕らはそこにパスが出てくるし、走り込んでいる。だから、戦術ではないんですよね。日頃、培った技術と信頼。すべてはこれに尽きます」

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つまり今の名古屋グランパスがやっているのは、まだまだチームとしての土台をつくっている段階なのかもしれません。まずは止める蹴るというところから始めて技術を定義していく。そして全員が同じものをイメージできるように目を揃えていく。「止める」と言えばどういうことなのかなど、ひとつひとつの状況やプレーに対して全員が同じ絵を描けるようにする。

だからよく「できている選手とできてない選手がいる」と言ったり、「自分たちができているかどうか」という話になるんだと思います。相手を分析して弱みをこちらの強みで徹底的に突くようなリアクションではなく、あくまでも自分たちからアクションを起こしていこうということでしょうか。これが完成するには長いプロセスが必要だと思いますし、積み重ねでしょう。ただしやりたいことや今後どうしていくのかははっきりしているように思えます。

では最後に、中村憲剛が最初に風間サッカーに触れて感じた印象を紹介してこのテーマを締めたいと思います。

中村は、風間監督の掲げるサッカーに初めて触れたとき、「少し時間が掛かるだろうな」と感じていた

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