ベガルタ仙台分析:両脇CBの運ぶドリブルについて

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リベロの河童
投稿者: ( 河童戦術ブログの管理人 )
公開日:2017年07月31日( 3か月前に投稿 )

リアクション型のサッカーでカウンター狙いだと、いかに相手の陣形が整う前に仕掛けてゴールまで繋げるかが大事なわけですが、逆に相手を押し込んでボールを握って戦うやりかたの場合だと、基本的に相手の守備陣形はいつも整っています。その整った陣形をいかに崩すかというところが大事になるわけですが、じゃあどうやってその崩すための最初の部分を作るのかという手段のひとつに「CBの運ぶドリブル」というのがあります。今回はその部分について。

まず最初に前置きとして「抜くドリブル」と「運ぶドリブル」は別物だという部分の説明から。よく斉藤学とかメッシとかがやっているのは「抜くドリブル」です。簡単に言うと自分に対してプレッシャーをかけて来ている相手をかわして突破しようとするタイプですね。

ではそうではない「運ぶドリブル」ってのは何だといいますと、相手を個人技で突破するのではなく、主にその局面を有利にするために使うドリブルのことです。特に後ろ側の選手に使う言葉ですけど、その選手がボールを持って前進することで相手がそこに引き付けられたり、相手がその動きに対応することで味方の状況が有利になるように使います。これを「ドライブ」と言ったりもしますね。今回やるのはこっちのほうです。

というわけで今回は特に「CBの運ぶドリブル」について書きます。セビージャのとはまた別のお話なんですけど、ベガルタ仙台の場合は攻撃時3-2-5という布陣で戦うんですが、もし相手が2トップだった場合は自然と3対2という形になります。

もしもこのままの状態を相手がキープするのであれば、仙台のCB陣は3対2と数的有利で、残りは7対8で数的不利の状況となります。で、多くのチームは安全にやろうとしてあまり後ろでチャレンジすることは無く、すぐに預けれる場所へボールを簡単にさばきます。この状況だったらボランチやサイドのウィングやシャドーに出してそこで勝負してもらう形ですね。

しかしこのままでは前線は7対8で数が足りてないので、基本的にはどこにも優位性を作れてないため、効果的に攻撃できるポイントは見つけづらい状況です。ではどうすればこの相手を崩せるのか。そのプランのひとつが「CBの運ぶドリブル」です。

このようにサイドのCBが相手のFWのラインを超えるようにボールを持って前進することを「CBの運ぶドリブル」と言ったりします。もしこの動きに相手のサイドハーフが対応して寄せてきたら、それは相手の守備陣形を動かしたことになりますね。また、これに対応せず相手が守備陣形を保ったままだと、そのままどんどん前進されてしまいます。よって、相手はこれに嫌でも対応することになります。その対応するってのが仕掛けた側からすると「相手を動かした」となるわけです。

これはまず最初にサイドを広く使うことからはじめます。3人のCBが幅広くポジションを取ることで、この運ぶ動きに対応できなくします。右CBから中CBへ、そして左CBへとパスをして相手のFWを回避しているときに、もしCBが近い距離を取っていたらそのまま相手が左のCBまでプレッシャーをかけてしまいますね。そのためこのときCBは結構広い距離を取ります。もしそこで3人のCBに対して相手が3枚で数的同数のプレッシングをしてきたら、そのときはボランチが最終ラインへ下りてきて4対3という形にして回避します。もしくはGKも参加させるとか。とにかく数的に多くします。

そして両側のCBがフリーになったら、陣形を整えて待ち構えている相手に向かってドリブルをします。もちろんここで相手の隙間に入り込むドリブルもあるのですがそれはまた次回。今回はこの「相手に向かってドリブルする」ってのがポイントです。もし奪われたり失敗したら後ろには誰もいませんしカウンターの大ピンチではあります。しかし、逃げては絶対に駄目です。勇気を持って相手に向かっていかなければなりません。そうでないと相手が対応してこないですからね。目的は相手の守備陣形を動かしたり相手を混乱させることです。

これは前回の『ベガルタ仙台分析:ライン間でシャドーを見つけるんだ!』とも繋がるお話なんですが、シャドーやウィングがいい状態でボールを受けるには、まず整っている相手の守備陣形を動かす必要がありますよね。そのために両脇CBがボールを前に運んでFWのラインを突破することで、相手に対応させて相手を動かす。このためにCBの運ぶドリブルというのが重要になるのです。

いかがでしたでしょうか。前回のシャドーのお話とこの運ぶドリブルをセットで読んでいただけると、押し込んだ相手を崩すための最初の部分が見えてくるのではないでしょうか。整っている相手を動かすためにどの選手がどう配置についてどのような動きをしているのか。それぞれのポジションにそれぞれ役割があったりするので、是非そういう視点でゲームを見てみることをおすすめします。両脇のCBがいきなりドリブルをし出して前に運ぶのにはこういう理由があるんだよっていうのが少しでもご理解いただけたら幸いです。

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